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ミリドニアなう

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第1弾

恋人リオアニのまったり話。



「それはオレンジ……いやミカンだろうか」
果物かごを抱えたアニが近づいてきたのを見て、ソファーでくつろいでいたリオットは顔を上げ、アニに尋ねた。
「そう、ミカンです!ミリドニアでは珍しいですよね」
アニはリオットの隣に腰掛けるとミカンを差し出した。それを受け取りながらリオットはもう一つの疑問を口にする。
「して、その毛布は?」
「これはですね、――ある東の国では『コタツ』なる暖房器具で暖まりながらこれを食べるのが定番なんですって。コタツは用意できないのでこれを掛けて少しでも異国の気分を味わおうと思って。」
アニがいたずらっぽく笑う。
「ちなみに、コタツは人を堕落させる魔性のアイテムで、ミカンと組み合わせるとその効果は倍増するんだとか……というわけで、リオットさんも、どうぞ!」
そう言うと、アニは二人の膝にブランケットを広げる。
それは、ここ数日“大した中身もなく無駄に時間を消費するだけの会議”に出席を余儀なくされ、たっぷり疲労とストレスを溜めていたリオットへの、アニなりの労いだった。
「では、喜んでご一緒させていただこう」
アニの優しさに触れ、リオットが笑顔を浮かべる。
それを見て嬉しそうに微笑みながら、アニは自分の分のミカンを手に取った。
「いただきまーす!……モグモグ……ん、甘い!」
「確かに、甘くて出来のいいミカンだ」
「そうですね……ってもう食べ終わったんですか?!前から思ってたんですけど、リオットさんって食べるの早いですよね」
「職業柄どうしても急いで食べざるを得ないせいで早くなったのだろう」
「あ~、納得というか予想通りというか……」
二人身を寄せ合って、そんな他愛のない話をする。外は雪がちらついているが、暖炉で赤々と燃える炎と愛する人の体温で、寒さを感じることはない。
ふと、アニは肩に乗る重みが増したことに気づき隣を見やる。すると、リオットが凭れかかり、すやすやと寝息を立てていた。
「……さすが、魔性のアイテム」
一人合点するアニに、それはコタツ(がわりのブランケット)とミカンのせいではなくて、とツッコむ人はいなかった。

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