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ミリドニアなう

第5弾

5本目は、最後だからと言って何か仕掛けがある訳でもないリオ→←アニ。



夜の市街を歩くアニ。隣にはリオットが護衛として供をしている。
盛り場へ出れば違うのだろうが、城から貴族街へのその道は静寂に包まれ、すれ違う人もほとんどいない。
「今夜は星がよく見えますね」
ふと、空を見上げてアニが言った。つられるようにリオットも空を見て肯いた。
「ああ、そうですね」
「あの星があそこにあるってことは……こっちが北、ということは、イナコはあっち、ですね」
「姫は星から方角を知る術をご存じなのですね」
少し驚いたような声音でリオットが尋ねる。
「はい、トムソンさんから教わりました!夜迷子になったら星を見なさいって」
アニがきりりと逞しい顔つきで答える。
それを聞いたリオットは、視線は空に向けたまま、口元をわずかに緩めた。
「そうですか。私も遠征で夜通し移動するときなどは、星を頼りに進みました」
「そういえば、夜間訓練もするっておっしゃってましたもんね」
「ええ。しかし、星の見方を教わったのは騎士になるずっと前……幼い、子供の頃でした」
「……、そうなんですね」
アニは一瞬目を見張り、そしてすぐに笑顔になる。わずかな星明りの下でも、リオットにはその笑顔が何よりも輝いて見えた。
眩しいものを見るように、リオットは目を細めた。
「でも、何だか不思議です」
笑みを浮かべたまま、アニは話を続ける。
「何がですか?」
「私とリオットさん、全然違う場所にいたのに同じ星を見ていたかもしれないって思うと不思議な気持ちです。私の知らないところで、リオットさんが確かに生きてたんだなあ、みたいな……すみません、何言ってるのかわからないですよね」
苦笑するアニに、やや間を置いてリオットが答えた。
「少し、わかるかもしれません」
「え?」
アニが意外そうにリオットを見上げる。
「貴女と私は確かに同じ時を生きていて、そして貴女は、いつでも家族や民の愛に包まれていたのだろうと、そう感じます」
そう言葉を紡ぐリオットの声はどこまでも穏やかだった。
リオットのその言葉と表情に、アニの胸がきゅっと締め付けられる。
それ以上何も言えず再び星空を眺めるアニの手を、リオットの手が包み込む。
「余所見をしていると危ない」
そうは言いながらも、空を見るのを咎めるでもなく、リオットはアニと歩調を合わせる。
「あ、ありがとうございます……」
アニは礼を述べながら顔が熱くなるのを感じた。
会話が途切れ、二人は黙って遠い空と、隣の相手に思いを馳せる。
導くように導かれるように手を繋ぎ歩む二人を、星明りが照らしていた。



似てないようで似ている、でも近くて遠い、そんな感じのリオアニ。
いろいろ葛藤もあったと思うけど、その距離感をグイグイ詰めてきて最終的にゼロ距離になるのがリオット√のいいところ。

ということで、リオット誕生祭ひとまず終了!
自己満企画でしたが、閲覧してくださった方に少しでも萌えていただけていたら嬉しいです。せっかくお越しいただいたのに萌えていただけていなかったら申し訳ないですが、私はやりきった達成感でスッキリしています!

最後にもう一度、リオットさんお誕生日おめでとうございます!
アニちゃんとお幸せに!!

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第4弾

4本目はリオット視点の恋人リオアニ。
ムッツリスケベ?オープンスケベ?なリオットさん注意。



恋人とは一秒でも長く共にいたいもの。普段遠く離れた場所で過ごしているのならば、なおのこと。その緩やかに波打つ髪を梳き、薄い肩を引き寄せ、幾度重ねても足りることはない柔い唇に口づけたいと望むのは当然のことだろう。
そうして久々の逢瀬で望むまま唇を触れ合わせているうちに、姫が落ち着かない様子で身じろいだ。遂には手でこちらの胸を押し返す仕草を見せたので、私は口づけを中断し姫の顔を覗き込んだ。
「……姫?」
姫はそわそわと視線を彷徨わせている。
「あの……触り方が、ちょっと……」
しばし言い淀んだ後、この密着した距離でやっと聞こえるくらいの音量で姫が囁く。
「……ちょっと、やらしいかな、って…………」
姫にそう言われて今の状況を確認する。
姫を包み込むように抱きしめていたはずの両腕がいつの間にかマントの下に差し込まれており、あろうことかその手は姫の臀部にあてがわれていた。
思い返してみればつい先程まで、姫の背中から腰にかけて身体の線を確かめる様に掌でなぞっていた気がする。無意識のうちにこの腕は己の欲求に忠実に動いていたらしい。
私は慌てて両手を上げた。
「っ、申し訳ない。姫に不快な思いをさせるつもりはなかったのだが……」
「いえ、不快という程では……でも、誰か来るかもしれないし……」
「………………」
「………………」
沈黙が辺りを満たす。姫は私から目をそらし、気まずさと恥ずかしさの混じった空気を醸し出している。
しかし、私の中では気まずさよりもある疑問の方が大きな割合を占めていた。疑問点は解消しなくてはならない。
「姫は、私にこのように触れられても不快ではない、と?」
「ぅえっ?!」
「私は、姫に触れると、ついもっと貴女を感じたいという想いが溢れて、それが行動にも出てしまう。しかし、姫がそれを不愉快に感じるのなら全力で抑えましょう」
姫の顔は紅潮し、瞳は僅かに潤んで見えた。
「…………姫」
姫の目を見つめ、私は返答を促した。正直なところ、姫が私を否定するようなことを言うはずがないことはわかっている。しかし私はどうしても姫の言葉が――姫が私を受け入れた瞬間の、頭が喜びで塗り潰されるあの感覚が欲しかった。
「……そんなの、答えらないですっ!!」
姫は真っ赤な顔でそう叫ぶとそっぽを向いてしまった。
これほどあけすけに触れたいなどと言われれば恥じらって当然だろう。それでも本気で怒るでもなく、私の手の届く距離に留まっている姫は些か人が好すぎるのではないかと、まるで他人事のように思う。
そして結局その人の好さにつけこんで、私は姫の細い身体に再び腕を伸ばすのだった。あまり執拗に触れないように、という自制心が明日にも残っているかどうかは、自分でもわからない。



個人的にはアニちゃんへのスケベ心駄々洩れリオットさん大歓迎なんだ(・∀・)b

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第3弾

以前の記事に拍手ありがとうございます!

3本目は、本企画唯一リオアニではない、リオットとナレクの過去捏造小話です。



ミリドニア王国騎士団修練場。その中央に、美しい赤髪が目を引く少年が憮然とした面持ちで立っている。
彼の前には黒髪の青年が、こちらもやや不満げな表情で相対していた。
「ナレク王子、そういうわけで今日からはこのリオットが王子の剣の師を務めさせていただきますので」
青年の隣に立つ男が告げる。
「おい、カルボ」
青年リオットがじろりと隣の男を睨みつけるが、男は全く意に介していない。
「師匠というから、もっと副将軍みたいのが来ると思ったぞ」
「副将軍程の豪傑を師に望むとは、流石はナレク王子、気概が違う」
「俺様の師だ。そういう者がふさわしいだろう!」
怖いもの知らずが過ぎるナレクの発言をさらりと流し、食えない笑顔でカルボが言った。
「おっしゃる通りですがナレク王子、このリオットも騎士団若手随一の腕の持ち主。まずはこいつで肩慣らしをと、それが王のお考えです」
そこでリオットがカルボに小声で噛みつく。
「おい、俺は実践に出たいんだ、この役目をそういつまでもは――」
「わかってるって。急がば回れと言うだろ?時にはこーゆーのも必要なんだよ」
リオットの不平を、カルボは変わらぬ笑顔でかわす。
「それに言っただろ、『王のお考え』だって」
その一言に、リオットが言葉を詰まらせる。
「……これは必ずお前の為になる。だから、ほれ、さっさと王子に挨拶しろ」
そう言ってカルボはリオットを肘で突く。
最後にカルボをもう一睨みすると、リオットは息を吐き、そしてナレクへと向き直った。
「第3騎士団所属、リオット・ヴォルテ。ナレク王子の師の務め、全力で全ういたします」
その真剣な眼差しは、真っ直ぐにナレクへと向けられていた。
「いいだろう!お前なんか5秒でぼこぼこにしてやる!」
自信満々でそう言い切ったナレクに、リオットの眼差しが早くも曇りかける。だがしかし、とリオットは思い直す。これは王の命。ならば全身全霊でそれを果たさねばならない。
両者向かい合い、剣を構える。
「準備はよろしいですね。では……始め!」

こうして、リオットの苦悩と忍耐の日々の幕が開けた。



本当はもう少し先まで考えた、けど時間の都合でここで切った。
あと、ヴィーノも話に絡めたかったけど、力量が足りなかった…。

リオットが第3所属とかものすごい捏造だけど、本編を読むとカルボについていたように取れなくもないのでそんな設定にしてみた。
リオットさんも若いころはまだやんちゃさが抜け切れてなかったりするんじゃないかな?という妄想。

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誕生日当日! 第2弾

リオットさん誕生日おめでとう!
リオットさん姫と幸せになって!もうなってるけど!今まで以上に!!

ということで、祭2本目。
アニが恋人リオットの家に行くことになる話(行くとは言ってない)。
これはpixivにも上げます。



「それじゃあ、5日間お世話になります」
ミリドニア王国グルカオン城謁見の間にて、アニはナレク王子と対面していた。ナレクの隣には筆頭貴族のヴィーノが、後方には騎士団長であり、アニの恋人であるリオットが控えていた。
この度アニはミリドニアの祝典行事の賓客として招待を受けていた。
「国の祝典に、肝心の国王が不在ってことにはびっくりだけど……」
「それは、父上だからな!」
アニの当然の困惑に返ってきたのは、自慢げな、しかし何の説明にもなっていないナレクの言葉だった。
「ちなみに、今回はお前のためにこの城の客間を一室用意した。ありがたく使うといい」
「お城の?ということはヴィーノのお屋敷じゃないんだね」
「そう。ボクとしては、お花ちゃんならいつでもウェルカムなんだけどね~」
「残念だがそうはいかん。なぜなら、その部屋には最新の俺様の肖像画・祝典バージョンを飾っているからな!どうだ、嬉しいだろう!」
「まあ、歓迎の気持ちは嬉しい……かな?」
アニが本音の9割を隠した返答をしながら後ろのリオットを窺うと、彼は思いっきり苦々しい顔で溜息をついていた。
対照的なナレクとリオットの様子をよそに、ヴィーノがいつも通りの気楽な調子で言う。
「ともかく、うちの屋敷はいつお花ちゃんが来ても大丈夫なように準備してるから、お城に飽きたらすぐおいで!なんならボクの自宅に来てもいいし、今すぐにボクの腕の中に飛び込んできてくれても――」
「ヴィーノ様」
地を這うような低音がヴィーノを制する。声の主は苦々しいを通り越し、今にも牙を剥かんばかりの警戒心を露わにしていた。
「そんな怖い顔しないでよ。ボクはお花ちゃんの意見を尊重したいだけなんだから。お花ちゃんは、ボクの腕の中を希望しているかもしれないし――」
「希望してないからね!?」
「リオットの家を希望しているかもしれないし?」
「?!」
ヴィーノの話が思わぬ方向へ進んだため、アニの顔が赤くなり、リオットも動揺した表情を見せる。
「そういうわけだから、二人で相談でもしなよ~。さ、行こうか、ナレク」
「……なんだこの空気は……なんだか落ち着かないぞ」
そわそわするナレクを連れて、ヴィーノが広間を後にする。残された二人が顔を見合わせた。
一瞬の沈黙の後、リオットがごほん、と咳払いをした。
「……ヴィーノ様のおっしゃったことは、どうかお気になさらず。しかし、姫にご希望があるのなら極力その通りに手配しましょう」
あくまで事務的な態度で対応するリオット。水を向けられたアニは始め口籠っていたが、意を決して自身のリクエストを口にした。
「もしお邪魔でないなら、その……リオットさんのお家に、行ってみたい……です」
アニの願いに、リオットがわずかにたじろぐ。
「邪魔などでは決してないが、一国の姫を迎えられるような居所では……」
「……なら、4日目で公務は終わるので、その後にただのお客さんとして伺うのは、ダメですか?」
アニがリオットをそろりと見上げ遠慮がちに尋ねると、リオットは口元を手で覆い勢いよく顔を背けた。
その耳が赤く染まっていることに気づいていないアニは、困らせてしまったのかと心配そうな顔になる。リクエストを撤回しようとした、その時だった。
「わかりました。最後の一晩は我が居宅にお迎えしましょう」
顔を背けたまま、リオットが答える。すると、承諾を得られてアニが笑顔になった。
「ありがとうございます!……あ、でもこんなに急で、準備とか色々お手間を掛けさせてしまいますよね」
「いえ、その点は問題ありません。それよりも、私の自制だとか忍耐が…………」
だんだん小声になるリオットに首を傾げるアニ。
「あの、本当にご迷惑じゃないですか?」
「……問題ありません。私もその日は夜通し姫を警護する予定でしたので」
「まさかの自主的不寝番宣言!護衛はいいのでちゃんと休んでくださいね!?」
「……休める時は休みましょう。せっかくの姫と過ごす時間なのだから」
リオットのその言葉でアニはやっと安堵すると、嬉しそうに言った。
「はい!……楽しみにしてますね!」

それからの3日間、アニは公務に精を出した。慌ただしく過ごすうちにあっという間に時が経ち、気づけば滞在4日目。
全ての仕事を終え、ちゃっかりキャラバンも手伝ったアニは、逸る気持ちを抑えながら騎士団詰所へと向かった。
詰所に着き、いつものように扉をノックするも返事がない。何度ノックし呼びかけても反応がないため、アニは少し迷ったのち戸を開けた。
「うん、そんな気はしてた……」
アニの独り言が誰もいない部屋に響く。どうやら騎士団の面々は全員出払っているらしい。もしかしたら何か事件が起こってそれに対処しているのかもしれない、と考えアニはうーんと唸り声を上げた。
ここで待っていればリオットは戻ってくるだろうが、それまで何もせずただ待っているというのはどうも落ち着かない。
詰所の中を見回していたアニは、やがて腕まくりをすると、机に散乱した書類に手を伸ばした。

やがて窓の外が薄暗くなった頃、せわしない靴音と共に詰所の扉が開いた。
「やはりいらっしゃったか……姫、お待たせして申し訳ない」
部屋に入ると、リオットは真っ直ぐにアニの元へ歩み寄った。
「いえいえ、リオットさんこそお疲れ様です。お仕事は大丈夫ですか?」
「やっと片付いたところです。姫は……」
そこでリオットはアニとその周りの状況を見て、アニが今まで何をしていたのかを察する。
「……姫もお疲れだろうに」
困ったような、しかし優しい笑みを浮かべるリオットに、アニも笑顔で返す。
「これくらい何てことないですよ!それに、リオットさんと会ったら、今日までの疲れも全部吹き飛びました!」
リオットの手がアニに伸びる。気づけばアニはリオットの腕の中にいた。
愛する人の温もりを感じられる喜びと、誰かが入ってきたら気まずい空気間違いなしなことへの心配の間で葛藤するアニだったが、リオットは全く気にする様子もない。
ふとリオットがアニの手を取る。
「花のような香りがする」
「花……、今日キャラバンでポプリを触ったから、その匂いかも」
アニはキャラバンに立ち寄った際、ミリドニアの花で作ったポプリをイナコ製の木箱や布袋に詰め、それを今日の目玉商品として売っていた。
「ポプリの香りにはリラックス効果のあるものもあるんですよ。リオットさんのお家にもおひとついかがですか?」
「ポプリもいいかもしれませんが……」
そこまで言うと、リオットはアニの髪に鼻先を埋める。
「今は、姫の方が」
リオットのこの言葉と行動に、アニは何も言えなくなる。
アニの顔の熱が引いて「そろそろお家に帰りませんか?」と言い出すまで、リオットは一番の癒しを享受し続けた。

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