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ミリドニアなう

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夫婦リオアニ短文、ネタバレ要素はそんなに無い、と思う。
ミリドニア過去編のリオット成分を含むリオアニを書こうとしたら酔っ払いリオットさんになった。




頬を撫でられた感触で、深い眠りに落ちていたアニの意識はゆっくりと覚醒した。誰だろう、とアニが疑問に思うことはない。こんな真夜中に自宅の寝室でアニに触れることのできる人物は一人だけ。目を開けるとそこにはアニの思った通りリオットがいて、寝台に腰掛けアニに覆いかぶさるようにしてその顔を覗き込んでいた。

「ん……リオットさん、おかえりなさい。今回は朝までコースじゃなかったんですね」

アニが眠たげに目をこすりながら、それでも柔らかく微笑んで身を起こした。リオットの手は未だアニの頬に添えられている。その手はいつもよりも僅かに熱く、また向かい合って距離が近づいたことで、アルコールの匂いがアニの鼻にはっきりと届いた。
今日はミリドニア軍の祝賀会が催されていた。他の団も面々も揃う滅多にない機会だということで、リオットもそれに出席していた。リオットが相当呑んでくるのは当然の事、帰宅は翌朝になるかもしれないとアニは予想していたため、意外と早い時間に帰ってきて安心したというのが正直な感想だった。

「リオットさん、休むならせめて服は着替え……んっ」

アニが言い終わるのも待たずにリオットが口づける。アニは驚いて身を引こうとするが、後頭部に手が回され口づけが深くなる。ベッドの上でこんな風に舌を絡め唇を食まれれば、普段ならそういうムードになるのだが、今夜はそうもいかない。やっとのことで拘束から抜け出すとアニは言った。

「リオットさん酔ってますよね?」
「酔ってない」
「それ、酔っ払いの常套句です!」

その言葉にリオットはわずかに不貞腐れたような表情を見せると、再びアニの唇を奪った。何度もキスを求めるリオットの様子は、アニにはまるでじゃれついているように感じられた。
どうしたものかとアニが思案していると、リオットは今度は唇ではなく耳たぶをちろりと舐めた。

「ひゃぅっ…………!」

思わずアニが声をあげる。リオットは動きを止めるどころかますます大胆に舌を這わせ時には吸い上げ、執拗なまでにアニの耳を攻め立てた。

「ちょっと……ま、待ってください!」
「……どうして?」

耳に唇を押し当てたままリオットが問う。

「どうしてって、その、変な声出ちゃうし」
「問題無いな……聞くのは俺だけだ」

直接耳に吹き込まれた言葉に、アニの顔が一気に紅潮する。

「~~~~っ、もう本当にストーーップ!!」

ばさあっとリオットに毛布がかぶせられる。毛布の下から覗くリオットの目は、鋭いというよりも据わっているといった方が正しい。その目を見据えてアニが言う。

「リオットさん、眠いんでしょう」
「……………………」

長い沈黙は肯定と同意。現にこうして隙だらけでアニの反撃を受けているのがいい証拠だった。

「夜も遅いし……今日はもう寝ましょう、ね?」

またしばしの沈黙の後、リオットはのそりと寝台に上がり横になった。アニは毛布を掛けなおすと、リオットの頭を優しく撫でた。

「おやすみなさい、リオットさん」

そう告げるアニの瞳には慈しみが満ちていた。リオットはアニを引き寄せ胸元に抱き込むと、ほうっと満足げに息を吐き、やがて規則正しい寝息を立てはじめる。
呑む度これじゃあ困るけど、たまになら――、そんなことを思いつつ、アニもゆっくりと瞼を閉じた。

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