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ミリドニアなう

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書きかけをまたも放置して新しいものを勢いで書いてしまった。
いつになく特殊設定。以下に注意書き。

・リオアニ転生ネタ
・6章後再会できなかったら…のif設定
・リオットは前世の記憶あり、アニはない
・リオットは貴族、アニは平民
・時代設定適当
・未完、完結の予定は未定

この説明ですでにあやしいニオイがプンプンするし書いてて冷や汗出てきそうなんですが、興味のある方は続きからどうぞ。








それは夜空に浮かぶ月のように、美しく、優しく、尊い光。
触れることは叶わないと知りながら、それでも彼は手を伸ばしその腕で抱きしめた。
それは記憶──彼の身に覚えのない記憶だった。
一際鮮烈に胸に刻まれたぬくもりを手放したことを後悔はしていない。していないが、もし再び出逢うことがあったなら、その時は。


「娘、明日から私の屋敷に来るように」
「…………はあ??」


Sea of Tranquility


真面目でしっかりしているが、少々変わり者。それが周囲の人々によるリオットの評だった。
名家の長男でありながら華やかな社交の場に出ることを厭い、上流階級の子供達が通う王立学院から軍事学院への転院を自ら望んだリオットは、現在はミリドニア軍の第一部隊長を任されるまでになっていた。
「ああ、また隊長さんが見廻りをしているよ」
リオットが街の様子を見て回る姿は、市内の者にとってはもはや見慣れた光景だった。
「本当だ。警吏でもあるまいに、戦争がないから暇なのかねえ」
「馬鹿を言うんじゃないよ。戦争もなくて、その上隊長さんがああして見廻ってくれるからこうして平和に暮らせるんじゃないか」
「そりゃそうだ。何かあったらすっ飛んできて片を付けてくれるもんな。でもなあ、俺は心配だよ。人生楽しいことあるのかなあって」
「どういうことだい?」
「だって、あの方が笑っているところを一度だって見たことがないよ」

+++

見廻りを続けるリオットは、市場へと足を運んでいた。市場は活気があるが、元気すぎる者達がいさかいを起こすことも多いため、リオットは一度気を引き締め直して喧噪の中に踏み込んだ。
しばらく進んだ先で、リオットの鈍色の瞳がある一点に釘付けになる。
その視線の先には、一台の古ぼけたキャラバンが停まっていた。キャラバンの前には商品が並べられ、一人の少女が商っていた。
愛らしくも意志の強そうな瞳は、今は人懐っこい笑顔で細められ、よく通る凛とした声がリオットの元まで届いてきた。
気づけば、リオットはキャラバンの前に立っていた。
先客を見送った少女は、次に店にやって来た人物の方へと顔を向けた。
「いらっしゃいませ!」
リオットが目を見開き、食い入るように少女を見つめる。
「……アニ、姫……」
「……え……?」
少女が首を傾げる。
そのまま、言葉もなくただ向かい合う少女とリオット。しばしの沈黙の後、少女が問いかけた。
「えっと……、何かご入用ですか?」
リオットの肩がビクリと震え、突然その表情が険しくなる。
「娘、名は?」
「え、……名前は、アニですけど……」
「…………」
リオットの眉間の皺がますます深くなる。
「お前は行商を生業にしているのか?」
「ええ、まあ、そうです」
アニの返答を聞いたきり、リオットは目を伏せて黙り込む。
アニの表情に困惑の色が浮かんできたころ、リオットがおもむろに口を開いた。
「娘、明日から私の屋敷に来るように」
「…………はあ??」
アニがすっとんきょうな声をあげる。何かの冗談かと正面の男を見るも、その顔は厳めしく、嘘も冗談も言っていないらしいことだけは察せられた。
「あの、一体何をおっしゃっているのでしょうか……?」
「明日から私の屋敷の使用人として働くようにと言っている」
「ええー!?そんな、突然言われても……」
困惑するアニに構わず、リオットは淡々と話を続ける。
「キャラバンで来たのだから、しばらくはここで商いをする予定だったのだろう?ならば商いの代わりに屋敷勤めをしても大した違いはないだろう」
「大きく違います!!」
「働きに見合った給金は出すし、住む場所も見繕おう」
「いえいえそこまでしてもらうのは……、じゃなくて!」
「キャラバンを開きたいのならば、上手く予定を立てて屋敷の仕事の合間にすればいい」
「Wワークか~……、じゃなくて!」
「他に何か問題が?」
「問題しかないです!!そもそもどうしていきなり私を雇おうと思ったんですか??」
アニから飛び出た当然の疑問に、リオットが一瞬言葉を詰まらせる。
「それは……その仕事ぶりを見込んだからだ」
「あの短い時間でですか?!」
「……一目見て、わかった」
その声にそれまでとは異なる響きを感じて、アニの胸がわずかにざわめいた。
しかしそのざわめきも、続くリオットの言葉に掻き消される。
「そういうわけだ。明日この時間に迎えに来るから、ここで待っているように」
「そんな強引な!」
「案ずるな、娘。悪いようにはしない。……約束する」
アニの胸が再びざわめく。正体不明の感情の揺らぎにアニが戸惑い言葉に詰まっている隙に、では、とだけ告げてリオットは去っていった。
「……意味がわからない……」
だんだん遠く小さくなる軍服の後ろ姿を見送りながら、アニは呟いた。
「ていうか、今の人…………誰?」


続く…?



以下どうでもいい独り言。

行き当たりばったりで書いているから、随時修正していくと思う。
続きは本当にわからない。書く気はあるけど書いてくうちに辻褄が合わなくなって諦めるかもしれない。

しかしこういうパロ?設定?はちょっぴり罪悪感がある。必要以上に原作を私物化しているようで…いや二次創作の時点でどれもそうなんだけど。それに他の方の作品を読むときにはそんなこと思わないんだけど。
しかもこれ歌からイメージとタイトルを借りてるもので。同人者がまれによくやるやつ~。自分は初めてやります。あ、ブログ名ではやってる、同じネタ元で…

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