山も落ちもない DxP 2017年11月12日 とりあえず書けたのでリオットエピローグ後捏造話up。ところで、恋人になるまでキスを我慢したリオットさんは初夜も文字どおり結婚初夜まで我慢するんだろうなーと思ってて。でも結婚前にとっくに済ませている二次創作もおいしい。自分では書けないけど。そして何かと我慢することの多いリオットさんが、ラブダメどちらのエンディングでも姫を我慢しないのが最高。アニちゃんがどちらのエンディングでも幸せそうなのにも感謝。 ■初めて訪れたリオットさんの領地の館。使用人さんたちは私を温かく歓迎してくれた。とりとめのない話をしながら、リオットさんと二人で夕食をとる。同じミリドニアの食事でも王都で食べるそれより素朴ではあったけれど、どれも美味しくて私はしっかりと完食した。食後のお茶をいただきながら、私はリオットさんに尋ねた。「リオットさんは普段ここではどう過ごしていらっしゃるんですか?」「普段か……ここに戻ったら1度は領内を見廻って異変がないか確認している。あとは、書斎で報告書を読んだりしているな」「やっぱりお仕事なんですね」「もちろん、鍛錬も欠かしません」リオットさんの答えがあまりにも予想通りで私は思わず苦笑してしまう。「でも町の人たちの様子を見るのって大事ですよね。気づかないところで困っている人がいたり、実際にその場に行かないとわからないことってたくさんありますもん」「姫はよくイナコの各地へ出向かれるのか」「ええ。父と母もよく旅行と称してちょっと遠くの村を訪れたりしていますし。……ただ二人だけで出掛けたいだけに見えなくもないけど……」「ご両親は仲がよろしいのだな。見習いたいものだ」そんな言葉とともに微笑まれたら、照れるなという方が無理な話だ。顔を赤くしてしどろもどろしている私をよそに、リオットさんはどこか楽しげな笑みを浮かべてこちらを見ている。「――っ書斎!お仕事は書斎でされるんですね!やっぱり本とかたくさんあるんですか?」気恥ずかしさをごまかすため、私は強引に話を元に戻した。「本もあるにはあるが、この辺りの地理、歴史を記したものや兵法書が多い。姫はあまり興味を惹かれないだろう」「この土地について書かれた本は興味あります」「そうか。何の変哲もない部屋と本だが、よければお見せしよう」「わあ、是非!」書斎は、本棚と事務机があるだけのシンプルなものだった。絵画とか観葉植物とか、装飾品といった類の品を一切置いていないところがリオットさんらしい。リオットさんは一冊の本を手に取ると、机に開いて私に見せてくれた。「北に流れるこの大きな川のおかげでこの一帯の土地は比較的豊かだが、それゆえ治水が大きな課題となっている」地図を指し示しながらリオットさんがこの領地について教えてくれる。この地を訪れることはそう多くはないと以前言っていたが、リオットさんが自分の領地について真剣に考えていることがその話しぶりからひしひしと伝わってくる。きっと、領地も領民も、リオットさんにとっては当然守るべきもののひとつなのだろう。そんなことを思いながら顔を上げると、リオットさんと目が合った。「今の話はそんなに面白かっただろうか?」「え?」「楽しそうな表情をしている」リオットさんの思わぬ指摘に顔が熱くなる。「これは、その……、リオットさんは本当に領民思いだなあって思って」「私?……私は、ただ職務を全うしているだけだ」「はい、そうやってリオットさんが強い責任感で領地の事を考えてくれているから、皆も安心して暮らせるんだと思います」「そうだろうか」「そうですよ!まだそんなにたくさんの人と会ってはいませんけど、今日見た限りでは、いい関係なんだなあって感じました。そう、王都の市場にいる時みたいに」この館に来るまでに何人もの領民の人たちがリオットさんに感じ良く挨拶していた。それは肩書きが「団長様」から「領主様」に代わっただけで、城下の市場でよく見る光景と同じだった。「そうか。そこまで言っていただけるなら、そのお褒めの言葉、有難く受け取らせていただこう」「ええ、謙遜も遠慮もしないで受け取っちゃってください」私がそう言うと、リオットさんはフッと笑った。その笑顔は優しくて、いや、優しいというより、なんだろう、なんだか……――そんなことを考えている間にリオットさんの顔がみるみる近づいてくる。思わず目をつぶると、少し遅れて温かなものが目元に触れた。そっと触れて、すぐに離れていく気配につられて目を開けると、今度は大きな掌が頬に触れ、顔の輪郭をなぞった。リオットさんの指先が耳たぶを撫でる感触に、僅かに肩が震える。「姫……」私を呼ぶ、その声が甘い。リオットさんの表情も、纏う空気も、全てが甘くて、クラクラする。こういう甘い雰囲気にはまだ慣れなくて、おずおずとリオットさんを見上げると、顔を引き寄せられ、温かな感触が今度は唇に与えられた。1度目は軽く、2度目は少し長く、唇が重ねられる。気づけばリオットさんの腕は私の腰に回され、しっかりと抱き寄せられていた。お互いの吐息が感じられる程の距離でしばしリオットさんと見つめあって、今度は私からキスするために少し背伸びをする。一瞬触れ合わせるのが精一杯で、すぐに逃げようとする唇を、リオットさんが追いかけ捕まえる。小さく音を立てながら、何度も啄むように口づけられる。唇の柔らかくて湿った部分がすり合わされて、思わず熱い吐息が漏れた。どれくらいの間そうしていただろうか。リオットさんの唇が離れる頃には、私は嬉しいのと恥ずかしいのとでいっぱいいっぱいになっていた。全身が熱いし、心臓はバクバクいっている。私はしおれた葉野菜のようにリオットさんの胸に凭れかかった。すると、頭上でリオットさんがかすかに笑う声が聞こえた。リオットさんと一緒にいると、今までに感じたことのない気持ちが湧き上がる。この暖かくて幸せな気持ちを、リオットさんも感じてくれていたらいいな、と思う。■以前上げた短文と同じ系統。本当にただイチャコラしてるだけだからタイトルも思い浮かばない。