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ミリドニアなう

拍手ありがとうございます!
誤爆の可能性も常に頭に入れているけど、ここで拍手をもらえると、こんな話もアリなのかな…?みたいな…

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書いててよくわからなくなってきたので続きをup。

初回はこちら
その次はこちら
リオアニ転生ネタ、詳しい注意書きは初回に。

ここから名有りのモブキャラが出ます。







明くる日から、アニの屋敷勤めが始まった。
リオットの正式な使用人である老夫婦は、アニが抱いた第一印象の通りの優しい人達で、アニに親身に仕事を教えた。
アニの飲み込みも早く、見習い期間として与えられた三日間のうちにほとんどの仕事を問題なくこなせるようになった。
「明日からは一人でも大丈夫そうだね」
「本当ですか、ウィッケさん!」
先生役の使用人ウィッケに合格を言い渡され、アニの表情が明るくなる。
「細かいところまでよく気づいてくれて、アニさんが来てくれて本当に良かったわ」
「ありがとうございます、ホミーさん!お二人にいろいろと教えていただいたおかげです」
アニはぺこりと頭を下げた。
「それでね、明日さっそくアニさん一人でお屋敷をお願いしたいのだけど、いいかしら」
「はい、もちろんです」
それを聞いてホミーはにっこりとほほえんだ。
「ありがとう。明日はリオット様が宿直明けで帰って来られますから、お食事の用意をお願いね」
「それなんだが」
と、ウィッケが言う。
「明日の食事は二人分作るようにとリオット様から言付かっているので、そのように頼むよ」
「二人分ですね。わかりました」
来客でもあるのだろうかと疑問に思いつつ、アニは了承した。

「リオット様、帰ってくるのかあ」
宿への帰り道、アニはとりとめもなく考える。
アニが使用人として働き始めてから今日まで、リオットは一度も屋敷に姿を現していなかった。
リオットのあの気難しそうな顔を思うと、アニは明日の仕事が少し不安になった。
リオットは何を考えているのかいまいちよくわからない。まだ二回しか会っていないのだからわからなくて当然かもしれないが、それだけではない違和感をアニは覚えていた。
しかし、給金をもらうからにはしっかりと自分の務めを果たしたいという思いがアニの胸にはあった。
「よーし、明日は頑張るぞ!」
アニは夕日の下で一人気合を入れ直した。

翌朝、アニは少し早めに屋敷へ上がった。
敷地周りの掃き掃除と水撒きを終えると、アニは昼食づくりに取り掛かった。
初めて使う調理場に手間取ることもあったが、早めに作り始めたおかげで時間には余裕がある。この調子ならリオットが帰宅するころにちょうど完成するだろうとアニが目算を立てていると、玄関で物音がした。
アニがまさかと思いつつあわてて玄関へ向かうと、そこにはリオットがいた。
「リオット様、おかえりなさい」
アニの言葉に、リオットはああ、と一言だけ返した。
「すみません、まだお食事の準備ができていなくて」
「構わん。……予定より早く仕事が終わった」
「そうだったんですね。あ、そういえば、食事は二人分と聞いていますが、お客様がいらっしゃるのですか?」
アニの問いに、リオットは言葉に迷うような様子を見せる。
「それは……、昼に何か予定はあるか」
「私ですか?特に予定はありませんが……」
「ならば、お前も同席するように」
「へっ?私が、昼食にですか?」
「そうだ。まあ、嫌なら無理強いはしない」
「いえ、喜んで同席させていただきます」
「そうか」
相変わらず感情の窺えない表情でそう言って自室へと歩いていくリオットを、アニは黙って見送った。
一体どういう意図でリオットは今の提案をしたのか、アニには疑問だった。普通家の主と使用人は食事を共にはしないもの、というのがアニの認識だ。
リオットが話し相手をほしがるタイプには見えないし、単なる気まぐれだろうか。あるいは、監督者として新人使用人の状態を把握しておかねば、という責任感からかもしれない、きっとそれだ。
うんうんと一人納得しながら、アニは調理場へと戻った。
それから30分ほどで全ての料理が完成した。ダイニングテーブルに二人分の皿を並べると、アニは書斎のリオットに声を掛けた。
書斎から出てきたリオットは私服に着替えていた。普段のかっちりと軍服を着こんだ姿と違い、白いワイシャツに黒いスラックスというラフな出で立ちをしている。シャツの襟元を寛げている姿が物珍しく、アニはついしげしげと見つめてしまいそうになるも、そんな不躾なことをしてはいけないと視線を前に向けた。
二人そろって食卓につく。アニはナイフとフォークを手に取ると、食事には手を付けずリオットの様子を窺った。
リオットはチキンソテーを切り分けると大きな一切れを口に運んだ。咀嚼し飲み込み、二切れ目をほおばる。そこで、自分を見つめるアニの視線に気づいた。
「あの、お口に合いましたか……?」
おそるおそる尋ねてくるアニに、リオットは
「ああ、美味い」
と、簡潔に答えた。
それを聞いたアニは強張っていた表情を崩す。
「よかった~!都会の方好みの味付けがわからなくて、心配だったんです」
リオットがどんどん食べ進める様子に安堵して、アニもやっと食べ始めた。
ふと、リオットが食事の手を止める。
「……これは、ゴボウのスープか?」
「はい、そうです。……もしかして、ゴボウはお好きじゃなかったですか?」
「いや。……ゴボウは、好物だ」
「そうなんですか?だったら、よかったです」
リオットはスープを一口味わうと、ぽつりと呟いた。
「……懐かしい味だ」
その言葉には、無意識のうちに心の中からこぼれてしまったような響きがあった。
それにアニは何と返したらいいのかわからなかった。というよりも、リオットの普段は見えない内面を垣間見てしまった気がして、それに返事をしてもいいのかわからなかった。
少しの間悩んだ後、アニは努めて明るく言った。
「それじゃあ、また作りますね。あと、ゴボウ料理のレパートリーも増やしてきます!」
それを聞いて、リオットがほんの一瞬見せた笑顔に、アニの心臓がドキリと跳ねた。
すぐにいつもの無表情に戻ってしまったが、口角を上げ、柔らかく目を細め、慈しむような笑顔を、アニは確かに見た。
アニは早くなった鼓動を落ち着けようと、無心で料理を口に運んだ。
しばらくして、リオットが会話を切り出した。
「お前は、以前も行商で首都に来ていたのか?」
「いえ、首都に来るのは初めてです。今までは地方の街を廻っていて。あと、イナコには何回か行ったことがあります」
イナコという単語にリオットは僅かに反応したが、それ以上追求はしなかった。
それから、アニはこの機会にと、簡単な身の上を話した。ミリドニア北部の村で生まれ育ったことや、基礎的な教育を受けながら家業である商売の勉強もしてきたことなど、アニの語る話にリオットは口を挟むことなく耳を傾けていた。
「リオット様は、グルカオンご出身なんですか?」
今度はアニから自分の事を問われ、リオットは口を開いた。
「そうだ。軍事学院に進み、王国軍へ入隊した。演習や遠征で地方や外国へ出向くこともあるが、基本的にはこの王都で活動している」
「そうなんですね……。でも、今が戦争のない時代でよかったです」
アニが笑顔で言う。
「戦争じゃなくても危険な任務はたくさんあるんでしょうけど……でも、少なくともリオット様が大きな戦いに出なくてすむのだから、よかったなあって」
「……そうだな。いい時代になったと思う」
アニには、その台詞がやけに実感のこもったものに聞こえた。

食事を終えると、アニはお茶を淹れるために一旦席を立った。
空になった皿を下げて、ケトルを火にかける。
沸かした湯をポットに注ぎ、ティーセットをのせたトレーをダイニングへ運ぶと、いい香りだなあ、などと思いながら淹れた紅茶のカップをリオットの前に置いた。
「お待たせしました」
「ああ。……ん?」
突然、リオットがアニの手を掴んだ。
「このアザは?」
リオットの言葉の通り、アニの手の甲にはまだできて新しい青アザがあった。
「こっ、これは……料理中にちょっとやってしまいまして……」
それは調理器具がしまわれている棚を探っている時に、上から滑り落ちてきた鉄板にぶつけてできたものだった。幸いなことにもう痛みはないが、それなりに大きなアザとなってしまっている。
「……あまり無茶はしないように」
リオットはアニの手を掴んだまま、親指でそっとアザのできた手の甲を撫でた。
リオットから与えられる感触にひどく落ち着かない気持ちになり、アニは咄嗟に手を引いた。
「ご、ご心配ありがとうございます!これからは気をつけます!」
相手の顔も見ずに早口でそう言うと、アニは踵を返した。
リオットから離れながら、アニは今の態度は失礼だったのではないかとにわかに心配になった。戸口の陰からこっそりと窺うと、リオットはいつもと変わらぬ様子で紅茶を飲んでいた。
「しっかりしなくちゃ」
先程からどうも気持ちに余裕がないと自覚しているアニは、ぺちぺちと顔を叩くと、洗い場へと歩みを進めた。

その後、アニは仕事に精を出した。そして、リビングで書類を広げているリオットが、あちこちの部屋や庭をせわしなく行き交うアニの姿を時折目で追っていることに気づくことはなかった。





締め方がこれでいいのかわからない…うまいこと思いついたら直します。

それにしてもこのリオットさんは天国と地獄。
新婚家庭かのようにアニちゃんが自宅にいる天国とあのアニ姫を使用人にしてしまっている地獄。
あとリオットさん7章相当に対しアニちゃんは3章辺りというラブ度のギャップ大地獄。
なんとかラブラブなところまで書きたいけれど、ちょっと時間を置こう…
こんなに長いのは書いたことがないうえこんな話だからとにかく悩む。長くなくても悩むけど!

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